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2017年10月30日

#006 「神武は筑豊に東征した」2012.8.5 菊池市講演 福永晋三 [1時間55分~2時間]

同じ例が「長谷(ながたに)の泊瀬/初瀬(はつせ)」なんですよ、多分。だから、「長谷」を「はせ」っち言うんです。「長谷川」さんの「長谷」。それから「日の下の草香」って言い方があるんで、多分さっきの「草香」だと思うんですね。「草」に「香」ると書いて「草香」ですね。それに「日」の「下」って書くんです。「日の下の草香」っていう言い方があったから、「日下」と書いて「くさか」と読むんだっていう『古事記』の序文に当たるわけです。そういう倭歌の歴史がありそうなんですね。


じゃあ、「飛ぶ鳥の明日香」ってどこなのか?と。それが先程の『射手引社伝』によって「烏尾峠」のすぐ隣の「鳥居」という地名の「鳥」が「八咫烏」を指すんだといった時に、じゃあ「飛ぶ鳥の」、「鳥」って「カラス」かということに気が付いたわけですね。で、カラスの鳴き声って何だ?と言うと中国語では実は「アー」なんです。で、「烏」という字は今でこそ「ウ」って発音しますよね?あれ実は古代の中国語では「ア」なんです。で、「雅」という字がありますね。


「雅やか」の「雅」という字です。「優雅」の「雅」です。あれも「カラス」を意味します。やはり中国語も「ア」です。カラスの鳴き声、「口偏」に「亜細亜」(アジア)の「亜」って書きます。「唖唖」なんです。ここでカラスの鳴き声です。よく、あのギャグでカラスは「カァーカァー」と鳴くって我々は思いこんでますけど、中国人は「アァーアァー」って鳴くって聞くわけですね。


それでよくカラスが人のことを馬鹿にして「アホォーアホォー」って鳴くんだというような説もあるくらいですが、実はこの笑い話のような冗談が本当なんですよ。だから、昔の人は枕詞をどうやって作ったかというと、時には「音」で導き出すわけですね。「飛ぶ鳥」の「鳥」が「カラス」であるならば、その鳴き声が中国語風に「アー」だった時に「飛ぶ鳥のアー」がまず出てくるわけ。カラスの鳴き声ですから「アー」なんです。「ア」の音、導き出します。


それで「アスカ」という文字は、実は「明」るい「日」と書きます。これがインドの神話、「ガルーダ神」と関係してくるんです。いきなりでおわかりにくいですけど。この「ガルーダ」というインドの神は、お日様を背中に乗っけて、天空を飛び回る神様なんです。で、このカラスはみなさんがご存知の通り、「熊野の使い」です。で、一部によればこれは「太陽の神」、「太陽神」ですね、カラスはね。で、日本でも朝鮮の高句麗でも有名な神話がありまして、「三本足のカラス」が出てくる。


今、オリンピックでサッカー戦ってます。あの彼らが胸につけるマークこそが、「三本足のカラス」です。あれです、あれ。「熊野の使い」です。それと、カラスは「太陽神」なんですよ。だから当然、意味上は「飛ぶ鳥」の「明」るい「日」、「明日」でしょ?「アー」という音がきて、「アス」という「明」るい「日」がきて、「明日香」という土地。それこそが八咫烏が神武天皇から褒美で貰った土地のはずなんですね。これももう、倭歌の上から直感したわけですよ。


じゃあ、それが私が言うように「神武は筑豊に東征した」のであれば、求菩提山の八咫烏に一体どの土地を恩賞で与えたのか?これをずーっと考え続けた(*不明)ですね。(*省略)ここなんですね。で、『古今和歌集』のですね、古い歌の中にですね、古い歌の中に、<世の中はなにか常なるあすか河きのふの淵ぞけふは瀬になる>という歌があるんです。(*省略)お聞きになったことありますかね。


<世の中はなにか常なるあすか河きのふの淵ぞけふは瀬になる>。で、昔は『古今和歌集』の古い歌の部分ですから、実は『万葉集』と同じ時代の歌なんですけど、「観念的な無常観」、世の中常無しという「無常観を観念的に詠んだ歌」だということになってたんですよ。ところが、『古今和歌集』の詠み人知らずのところに出てくるわけですから、多分これは『古今和歌集』よりも古い時代、すなわち『万葉集』の時代。